Aso Parade

さいたまシティ在住 2児の父ブログ

銀杏BOYZ “光のなかに立っていてね”を聴いた

      2018/04/14

銀杏BOYZの9年振りのアルバム”光のなかに立っていてね”を聴きました。

1stアルバムのエントリーを書いた時にもちょこっと触れたけど、自分にとって銀杏BOYZというバンドはすごい特別な存在なんです。ちょうど大学時代にもろかぶりだったこともあり、ライブにも頻繁に観に行ってたしね。彼らの活動も2007年くらいまでは追っかけてチェックしていました。ただ銀杏BOYZとしての活動が少なくなってきたことと、僕自身の音楽の趣味が変わってきたこと、そして何より、かっての曲に宿っていた神通力が薄まってきている現実を突きつけられるような気がして、それ以降は追っかけることもなくなっていました。

だから昨年、銀杏BOYZがアルバムを2枚同時リリースするとアナウンスされたときも、驚きはあったものの素直に喜んでいいものかどうかはわからなかったんですよね。9年という歳月はやっぱり長いものだし、彼らと同じくなんとなく僕も大人になってしまったから。

加えてアルバムの全貌が明らかになるたびにネガティブな情報がいろいろ出てきたのも大きかったです。「ノイズのアルバムだ」とか「既発曲ばっかりだ」とか何より「メンバーが次々脱退して峯田だけになってしまった」とかね。だから正直、アルバムの期待値はかなり低かったし、メンバー3人ぶっちぎって作ったアルバムにどんだけ価値があるんだよとまで思っていました。

そんなネガティブなマインドのまま最初に聴いたのはタワレコの試聴機だった。一発で引き込まれた。で思ったのは「残酷なほど美しいアルバムだな」と。(陳腐な言葉で申し訳ないけれど。)3人抜けた背景を考えるとどうしても100%肯定できるわけはないんだけれど、ここで鳴らされる音楽に罪はないし、その完成度たるや圧倒的だなというのが正直な気持ち。それから何回も聴いてるけれど、今もその感覚は変わらない。

アルバムの構成は、ノイズ色強めでシューゲイザーなM1″17才”〜M4″I DON’T WANNA DIE FOREVER”の前半、より深いところへ潜っていくM5″愛の裂けめ”〜M7″光”の中盤、ポップに突き抜けるM8″ボーイズ・オン・ザ・ラン”〜M10″僕たちは世界を変えることができない”の後半の3部構成。既発曲も含まれてるため全編通した明確なメッセージは感じられなかったけれど、この曲の並びでしか成立しなかったとも思う。

いちばん懸念していた「ノイズ」という点についても、強く必然性を感じさせるもので、かなりプラスの方向に働いていました。そもそもノイズミュージックをほとんど聴かないので、これがノイズとしてのオーソドックスな形かどうかは分からないんだけれど、峯田の言葉を借りれば「ノイズって気持ちーね(ぽあだむ)」の通りだと思う。1stのタイトルにかけて言えば「宇宙対戦」よろしく縦横無尽にノイズが飛び交う空間をひたすら漂っている感じ。それでも景色はどんどん変わっていく。ノイズだけじゃなく、打ち込みもシンセも全ては重力から解放されるために機能している。うん、ホントにきもちーよ。
(一方、ライブリミックスアルバム”BEACH”の方では、ノイズで塗りたくることでそれ自体がまるでブラックホールのような強力な磁場を発生していたのが好対照だなと。)

GOING STEADY時代の名曲”銀河鉄道の夜”(彼らの曲で個人的に1,2を争うくらい好き!)は、銀杏BOYZの1stに続き、”新訳 銀河鉄道の夜”となりさらに生まれ変わって収録されています。個人的にこの曲のイメージって、ゴイステverでは高円寺の夜空を、銀杏verでは山形の冬空を、地に足着いたところから見上げてるイメージだったんだけど、新訳verでは宇宙からの俯瞰した景色って感じがする。ふわりと浮いた感覚。

続く”光”はエコーが深くかけられていて、鳴り方がすごい生々しくなっているなと。いや、リリース時に原曲を初めて聴いたときもそれなりにビックリしたんだけれど、改めて聴いてみると別物かと思うくらいに生まれ変わっています。まるで宇宙の果てからとんでもない孤独とともに鳴らされているかのよう。光を希求する峯田の声が、音が、演奏が濁流のように一体となりとんでもないカオスを生み出すナンバー。ノイズ極まれり。

M9は本アルバム中、いちばんポップな”ぽあだむ”が収録されてます。といっても実はいちばんこの曲が1stアルバムの延長にあるのかなぁという気もするんですよね。銀杏BOYZの根底には常にポップなメロディが鳴っているし、その純度を高めていった結果がこの”ぽあだむ”という曲に帰結したんだなと。
(蛇足ですが、すごいポップだなと思って某ミスチル氏の声で脳内再生させてみたら、なんか言葉使いもそれっぽく聴こえてしまい、おまけにあの顔がチラチラちらつくことに。暇な人はお試しあれ。)

ちなみにこの曲、なんとPVに長澤まさみ(!)が出演しています。(ただ初めてそのニュースを聞いたときに違和感を感じなかったのは、峯田和伸とシックスナインズ名義の”僕たちは世界を変えることができない???”で、峯田本人が長澤まさみを好きだというくだりが収録されてたからなんですよね。)

ラストは”僕たちは世界を変えることができない”でフラットに着地。本アルバムのタイトルにもなっている”光”とは?とんでもない熱量と衝動と情報量を詰め込んだアルバムの最後にこの曲とともに浮かび上がる景色、ノイズで埋め尽くされたからこそくっきりと浮かび上がる、それこそが光なのだと。

今回このアルバムと”BEACH”の2枚と聴いて思うのは、銀杏BOYZはつくづく不器用すぎるバンドだなと。音を作るたびに、ライブをするたびに、メンバー自身傷ついて傷つけて何もそこまでとしなくてもと何度思ったことか。傷つかない場所から傷ついたフリをして音楽を冒涜するような奴もいる一方で、真摯に音楽と向き合ってきたからこそ生まれ得たアルバムなのだろうし、9年かかってしまったことも必然なんだろうと思う。メンバー3人が脱退を選択せざるを得ないほどの作品を100%肯定できるかと言うと、やっぱり肯定できない部分はあるんだけれど、それでもこれからの各人としての活動、銀杏BOYZとしての活動を、人生狂わされた1リスナーとして期待しています。

【関連エントリー】

銀杏BOYZ “君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命”, “DOOR”のレコードを買った!

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